仕事柄、患者さんから健康に関するご相談をいただく事があります。「ダイエットを意識しているが、以前と同じ方法では体重が落ちない」「一人暮らしを機にダイエットしようと思ったら体重が2か月で10kg落ちて心配」「最近疲れやすい」などなど。お話をよくよくお伺いしてみると、食生活に問題のあるケースがかなり多い事!傾向として、おにぎり・パン等手軽に短時間で摂取できる炭水化物に偏る、または全く食べないのがいいと思っている(でも菓子類は食べる)など、野菜とタンパク質の摂取が極端に少ない事が挙げられます。1993年から中学校の家庭科が性別によらず必修化されたとの事ですので、それ以前は男性が栄養に関する学校教育を十分に受けていない事になります。そのため、健康と食事摂取の関係性を詳しくご存じない方がいるのも仕方がないと思います。そこで、手軽にバランスのいい食生活の助けになれば、と疲労回復に大事な食事摂取法とカット野菜を活用したレシピをお届けします。
*この記事は、一人暮らしの方、単身赴任中の方、忙しい毎日で料理に時間のかけられない方、に特にお読みいただけたらと思います。
疲労回復に大切な野菜・タンパク質と炭水化物
毎日の食事で、美味しく食べる、が大事なのは当然です。それに加えて重要な事は以下の3つに集約されます。
1.一日の総摂取カロリー量を意識する
2.野菜、タンパク質、炭水化物をバランスよく食べる
3.3食食べる(常識的な時間と間隔で)
1. 一日の総摂取カロリー量を意識する
身長(AMI22とした時の標準体重)、運動量、性別で割り出される総摂取カロリー量を一日のうちで意識することは太りにくくする、つまりは疲れにくい体作りにとても大切です。もちろん、多すぎても少なすぎてもだめです。
日本医師会のホームページに参考になる記事がありましたのでリンクを貼っておきます。
2.野菜、タンパク質、炭水化物をバランスよく食べる
では、総摂取カロリー量さえ意識していればいいか、というともちろんそうではありません。冒頭の3パターンのご相談も、背景に炭水化物に偏った食事摂取がありました。
野菜、タンパク質、炭水化物の内訳をバランスよく摂取することも非常に大切です。
野菜:重要性は以前の記事で簡単にお伝えしました。
1日の目標量は350g、内120gは緑黄色野菜から摂るのが推奨されています。
カゴメさんのホームページにわかりやすい量の写真が掲載されていました。
https://www.kagome.co.jp/vegeday/nutrition/201708/6828/
タンパク質:特に動物性タンパク質は必須アミノ酸を多く含み筋肉量の維持に欠かせません。炭水化物と組み合わせて食べる事で効率的に体に吸収されます。さらに、有酸素運動と筋肉トレーニングを日常的に取り入れる事で筋肉量が維持でき、日常的な疲労感の軽減・姿勢の改善・代謝アップで太りにくい体作り、ひいては数十年後の寝たきり予防につながります(運動に関してはまた別の機会に。。。)。タンパク質も炭水化物と同様、摂りすぎは肥満の原因になります。
炭水化物:数年前、糖質制限ダイエットが流行り、肥満の原因、ダイエットの大敵、のように扱われ悪者にされていた炭水化物。最近はその重要性が認識される傾向にあり、ホッとしています。
炭水化物にはブドウ糖が多く含まれており、即効性のある栄養素です。また、脳はブドウ糖を唯一の栄養源としており、生産的な活動に欠かせません。しかし、タンパク質・野菜と比べ手軽に摂取しやすい事から炭水化物に偏る食生活の方が多かった結果、摂取過多となり悪者扱いされるようになったのではないかと思っています。
農林水産省の食事バランスガイドは各栄養素の一日の推奨量を具体例を交え教えてくれています。できていると思っている方でも現状の見直しつながるかも。是非下記をご参考にしてください。
農林水産省の食事バランスガイド:バランスのいい食生活の内容がビジュアルで示されていてわかりやすいです。
http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_sizai/pdf/oyako_all.pdf
健康長寿ネット:食事バランスガイドの活用法を分かりやすく紹介しています。
3.3食食べる(常識的な時間と間隔で)
さらに、総摂取カロリー量とバランスのいい食事を継続的・効率的に食べる・消化・代謝するために、朝・昼・夕3食食べる事は非常に大事です。
朝ごはんを抜くという方も多いようですが、一番頭が冴えている午前中にエネルギー源となる炭水化物が不足していてはなんとも非効率的。朝忙しいという方は、オニギリやパンなどの簡単な炭水化物を摂る(さらにバナナとヨーグルトを付けたら◎)ようにされてみると午前中の生産性アップにつながると思います。
一日全体で帳尻を合わせるのが肝です。
3食食べる事の重要性に関しても健康長寿ネットにわかりやすくまとまっています。
しかーし、ここまでわかったとしても、毎日忙しくクタクタ。ついつい食事がおろそかになってしまいがち。そんな貴方の救世主が、カット野菜です!
カット野菜
この記事作成のためスーパーのカット野菜コーナーを改めて見て、最近は様々な種類が売られているのだな、と感心しました。利点は、何と言っても包丁いらずで手軽に野菜が取れる事。時間・労力の節約の助けになります。
欠点としては、緑黄色野菜が少ない事が挙げられるため、サラダ用ならばトマトを足す、炒めもの用・煮物用ならばほうれん草・小松菜を足すなどの工夫が必要です。
緑黄色野菜の重要性に関しては下記が参考になります。
厚生労働省 e-ヘルスネット 緑黄色野菜
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-037.html
さらに動物性タンパク質を加えれば、バランスのいい食事に近づきます。
では、実践編です!
カット野菜とタンパク質の組み合わせレシピ
ツナ缶とサラダ用カット野菜のサラダ
まずは、ただあえるだけの簡単サラダをお届けします。用意するのはサラダ用カット野菜とツナ缶。さらにミニトマトを付けるとビタミンC&リコピンが一緒に摂れて〇。
今回はパクチー入りでうまうまペロリでした。トップの写真がこれ↓です。
サバの水煮缶と冷凍根菜ミックスの味噌汁
お次も出汁いらずの優れもの、サバ缶を利用したお味噌汁。簡単うまうまです。サバ缶に塩分が含まれているので、味噌は少な目で。
レシピに葉物緑黄色野菜を足していない(作った日は1-3全てを食べたため)ので、最後に小松菜orほうれん草を人1株一口大に切って散らすといいですね。
cookpad.comサバ缶を豚肉に置き換えると豚汁にできます。簡単優れもの、ビバ冷凍根菜ミックス!
定番!野菜炒めとアレンジレシピ
最後は、定番の野菜炒めです。疲労回復に大切なビタミンB群を多く含む豚肉を組み合わせると最高ですね。豚肉は脂身の少ないもも肉を選ぶと良質なタンパク質摂取となり◎。
洗い物が少なくなるよう電子レンジ調理のレシピを掲載してみました。
こちらも、2同様レシピに葉物緑黄色野菜を足していないので、最後のチンのタイミングで小松菜orほうれん草を人1株一口大に切って散らしてください。
cookpad.com実際作ってみると、今回は二人分程の分量でした。食べきれない分は冷蔵庫に保存し、翌日に焼きそばやエスニック風にアレンジしてはいかがでしょうか。
<アレンジレシピ>
・焼きそば
市販の焼きそばの麺の袋を少し破り、電子レンジ500w4分チン。
→野菜炒めに添付のソースを半分入れ混ぜ合わせる。
→麺を加えよくあえる。
→電子レンジ500w1分チン、完成!
・エスニック風野菜炒め
野菜炒めに、ケチャップ小さじ1、カレーフレーク小さじ1を加え混ぜ合わせる。
電子レンジ500w1分チン、完成!
さらにこんなレシピ本も参考になりそうですね。
最後に
記事には記載ないですが、ちゃんとご飯も一緒に食べました。
この記事を書くにあたり実際にカット野菜調理を試してみて、野菜を洗って切る作業は結構負担だったのだな、と再認識。ストレスフリーですし、これからはカット野菜をどんどん活用してみようと思いました。健康は1日にしてならず、ゆるゆる続けられる方法をこれからも皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
自炊がそこまで苦でないという方は下記も合わせてどうぞ。